2026年10月02日
プロセス技術,実装,大学・研究機関
2026年9月28日(月)、RISE GATE NIHONBASHIにて「第8回RISE-Aエバンジェリストナイト『半導体試作エコシステム 開発支援と人材育成』全国有数の半導体試作ハブ・人材育成拠点を率いるキーパーソンが一堂に語る~東北大 × 豊橋技科大 × 九工大~」を開催しました。
本イベントでは、東北大学の戸津健太郎氏をオーガナイザーに迎え、豊橋技術科学大学の澤田和明氏、九州工業大学の中村和之氏とともに、各大学が取り組む半導体の試作・開発支援、人材育成についてご紹介いただきました。後半のパネルディスカッションでは、大学の半導体試作拠点を持続的に運営し、人材育成や産業界との連携につなげていくための取り組みについて議論が交わされました。
戸津氏からは、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター(μSIC)における試作支援と人材育成の取り組みについてご紹介いただきました。
μSICでは、「試作コインランドリ」として半導体微細加工設備を学内外に開放し、研究開発から試作、技術支援、人材育成までを一体的に展開しています。経験豊富な関係者による技術支援のもと、設備や技術を共有しながら研究開発を加速させる「オープンコラボレーション」の考え方や、実際に半導体プロセスを体験する実習研修について紹介されました。
また、若い世代がものづくりに触れる機会が減少する中、実際に自ら手を動かして半導体技術を学ぶことの重要性についても語られました。
澤田氏からは、豊橋技術科学大学が長年培ってきた半導体・センサ研究と、実践的な人材育成についてご紹介いただきました。
同大学では、集積回路の設計からウェーハ試作、実装、評価までを一気通貫で行うことができ、学生自身が装置を扱いながら研究・教育に取り組む環境が整備されています。
また、40年以上にわたって実施されている社会人向けの集積回路技術講習会をはじめ、CMOSプロセス全体を実践的に学ぶ人材育成の取り組みについても紹介されました。企業人と学生がともに学び、教え合うことで、半導体プロセス全体を俯瞰できる人材の育成を目指していることが語られました。
1993年から歩みを重ねてきた同センターでは、半導体デバイスの試作環境を活用しながら、学内外に向けた研究開発支援や教育を展開しています。講演では、CMOSをはじめとするデバイス開発の環境や、遠隔を含め多くの受講者を対象としてきた人材育成の取り組みについて紹介されました。
また、九州・沖縄地域における半導体人材育成の取り組み「enSET」や、デスクトップ型のファブ、CMOS集積回路設計など、新たな教育・試作環境の整備についても紹介。大学の設備や技術を産業界にも開き、実際のものづくりを通じて半導体を学ぶ機会を広げていく取り組みについて語られました。
後半のパネルディスカッションでは、3大学の試作拠点における運営上の工夫や、技術スタッフ・若手人材の育成、企業との連携などについて意見が交わされました。
研究と企業利用の両立、設備を支える技術人材の確保・育成など、試作環境を持続的に運営していく上での課題について、それぞれの拠点での実践を交えながら議論が展開されました。
質疑応答では、講演中も質問を投稿できる"Slido"を活用するとともに、会場からの挙手による質問も受け付けました。設計人材の育成、試作拠点を利用する企業・ユーザーの特徴、回路設計技術の強化、大学で学んだ人材が企業で活躍するための課題、安全管理など、多岐にわたる質問が寄せられ、3大学それぞれの取り組みや経験を踏まえた活発な意見交換が行われました。
最後には、学生や社会人が実際に手を動かして半導体を学び、試作できる環境の重要性について改めて共有され、各拠点の設備・技術や人材育成の取り組みを今後につなげていく方向性が示されました。

講演・パネルディスカッション終了後にはネットワーキングを実施しました。登壇者と参加者、参加者同士で交流が行われ、半導体の試作・研究開発、人材育成などをテーマに情報交換が行われました。当日は会場に55名の方にご参加いただきました。参加者アンケートでは、「各拠点の取り組みをよく理解できた」「試作、人材育成の取り組みが貴重であることがよく分かった」「試作ラインを持つ大学の、外部に対する教育がどのように行われているかよく理解できた」などの声が寄せられました。
今回のイベントでは、東北大学、豊橋技術科学大学、九州工業大学という、それぞれ特色ある日本有数の半導体試作・人材育成拠点の取り組みを一度に知る機会となりました。
各大学の設備や技術だけでなく、それらを産業界に開き、実際に手を動かして学べる環境を維持・発展させていくための工夫や、人材育成の重要性についても活発な議論が交わされました。
なお、今回ご登壇いただいた戸津健太郎氏がセンター長を務める東北大学マイクロシステム融合研究開発センター(μSIC)にて、2026年12月22日(火)に「東北大学 半導体プロセス実習ツアー」を開催します。実際のクリーンルームで、半導体プロセスを自らの手で体験いただく実践型のプログラムです。今回の講演でも紹介された半導体の試作環境や人材育成の現場を、実際に体験いただける機会となっています。是非奮ってご参加ください!
▼「東北大学 半導体プロセス実習ツアー」の応募はこちら
https://www.rise-a.jp/event/detail/20261222.html
RISE-Aでは今後も、半導体分野における研究開発、人材育成、産学連携をつなぐ交流・共創の場を提供してまいります。