2026年09月11日
製造テクノロジー,材料,半導体メーカー(IDM),半導体製造装置メーカー,半導体材料メーカー,コンサルティング・調査会社
2026年6月4日(木)、RISE-AはJOINT3との共催により、RISE GATE NIHONBASHIにて「RISE-A 半導体エコシステムフォーラム―JOINT3編― ~共創で加速する半導体イノベーション~」を開催しました。
AIの進展に伴い、先端パッケージ技術は半導体競争力を左右する重要な領域となっています。本イベントでは、材料・装置・設計ツールの各企業が連携し、評価・開発を加速する共創型評価プラットフォーム「JOINT3」をテーマに、半導体産業の最新動向やエコシステム構築の方向性について、多角的な視点から議論が行われました。
南川氏は、「異次元の成長期に入った半導体産業」をテーマに講演を行いました。
AIデータセンターへの投資拡大を背景に高成長が続く半導体産業について、今後の市場動向を展望しました。あわせて、日本政府が推進する半導体戦略を取り上げ、日本の半導体産業が目指す方向性について解説しました。
曽山氏は、「イノベーションエコシステムへの新潮流」をテーマに講演を行いました。
曽山氏の講演では、企業や組織が単独でイノベーションを生み出すことが難しくなる中、異なる技術や知見を持つプレイヤーが連携するエコシステムの重要性について紹介されました。
企業、大学、研究機関などがそれぞれの強みを持ち寄り、共通の目標や課題のもとで協力することが、新たな技術や事業を生み出す力になります。組織や業界の枠を越えた連携を継続的な成果につなげるための仕組みづくりについても示唆がありました。
阿部氏は、次世代半導体パッケージの開発を推進する共創型評価プラットフォーム「JOINT3」の概要と、設立の背景について説明しました。
生成AIや自動運転などに用いられる半導体には、さらなる高性能化と大型化が求められています。その実現に向けて、複数のチップレットや各種部品を接続するパネルレベル有機インターポーザーの開発が進められています。
JOINT3では、材料・装置・設計ツールの各企業が一つの試作ラインを活用し、実用化を見据えた試作ラインで評価を行います。各社が成果や課題を共有しながら検証を重ねることで、単独企業では取り組みが困難な技術開発を加速し、新たな価値創出を目指す取り組みが紹介されました。
先端半導体における複雑かつ多様な構造欠陥を、X線透視による2D検査で高速に検出するとともに、わずか数分で三次元的に可視化する非破壊検査技術を紹介しました。また、解析領域では、新開発のナノフォーカスX線管を採用したComet Yxlon独自のCTスキャン方式により、600nmの微細なディテールの可視化と高い再現性を安定して実現する製品を提案しました。
半導体をはじめとする電子材料製造工程に対し、花王が界面科学を基盤として構築してきた工程薬剤開発の設計思想と技術的アプローチについて紹介が行われました。JOINT3参画アイテムであるフラックス洗浄剤、ドライフィルム剥離剤、仮固定材剥離洗浄剤を例に、界面現象の理解に基づく材料設計と工程適用の具体事例が示されました。
また、花王はコンシューマービジネスで長年培った界面制御技術や高度な処方設計力を強みとし、その知見を産業用途へ展開していることや、情報材料を含むケミカル領域での価値創出にも継続的に取り組んでいることが紹介されました。素材・工程双方の価値提供を通じて社会課題への対応を進めるとともに、半導体分野では界面科学を核とした材料・プロセス両面からの提案を通じて、業界の持続的な発展と技術高度化への貢献を目指していることが示されました。さらに、本イベントを契機として、工程薬剤の業界標準工程への実装や、参画企業との具体的な協業創出への期待が語られました。
奥野製薬工業は2025年に創業120周年を迎えました。表面処理・めっき薬品をはじめ、ガラスなどの先端材料、食品分野で培った技術を活かし、環境に配慮した社会づくりに取り組んでいます。表面処理事業部の薬品は、スマートフォンやPC、自動車、家電、サーバーなど幅広い製品に採用されており、従業員の30%以上が研究員であることも、同社の高い研究開発力を支える強みとして紹介されました。
また、2024年に立ち上げた半導体向け表面処理ブランド「TORYZA(トライザ)」についても説明が行われました。「T」を抜いた「ORYZA」はラテン語で「米(こめ)」を意味し、「半導体を日本の産業の基盤にしたい」という想いが込められています。半導体パッケージ基板のビアフィリングや超微細配線向けの硫酸銅めっき添加剤、UBM形成向けの無電解めっきプロセスに加え、薬品だけでなく装置・工程まで含めた最適なソリューションを提供していることが紹介されました。さらに、総合技術研究所(大阪市鶴見区)では、条件検討から試作・評価、量産立ち上げまで一貫した支援が可能であることが示されました。
半導体イノベーションは、先端材料やシリコン設計にとどまらず、データセンター、自律走行車、航空宇宙プラットフォーム、ロボティクスなどを支えるシステム全体へと広がっていることが説明されました。
また、近年では、競争優位性を高めるために、これら各レイヤーをデジタルでつなぐことの重要性が示されました。
講演では、SynopsysとAnsysの統合された能力により、このエンドツーエンド連携がどのように実現されるのかについて解説が行われました。
Synopsysは、先進的なチップ設計、IP、検証、ライフサイクル管理を通じて「シリコンインテリジェンス」を提供し、Ansysは、熱・電力・機械・信頼性などのシステムレベル性能を検証する「マルチフィジックスシミュレーション」を通じて「フィジックスインテリジェンス」を提供することが紹介されました。
さらに、両社のソリューションを組み合わせることで、製造前の仮想統合によるリスク低減や歩留まりの向上、開発期間の短縮が可能になることが示されました。加えて、材料イノベーション、シリコン性能、実システム要求を整合させることで、次世代アプリケーションにおける持続的な競争力強化を支援する取り組みについても紹介されました。
AIの活用に伴う処理負荷(ワークロード)の急増を背景に、より高機能で大型のチップに対するニーズが高まっていることが説明されました。AIのパフォーマンス要件は、従来のムーアの法則に沿ったスケーリングを上回るペースで高度化しており、モノリシックICと同等以上の性能や帯域幅を実現するため、半導体メーカーでは最先端パッケージに複数のチップレットを実装する「Heterogeneous Integration」技術の採用が進んでいることが紹介されました。
また、ウシオ電機は20年以上にわたり半導体パッケージ向け露光装置の開発に取り組んできたことが紹介されました。Applied Materials社と共同開発を進めるDLT装置は、量産レベルのスループットを実現しながら、最先端パッケージ基板に求められる性能を達成できる露光装置であることが説明されました。
さらに、DLT装置の性能やデジタル機能をはじめ、JOINT3を通じてパッケージ技術の発展に貢献する取り組みについても紹介が行われました。
セッション終了後にはネットワーキングが行われました。材料、製造装置、設計ツールなど、半導体バリューチェーンのさまざまな領域から集まった約120名の参加者が交流し、講演内容や各社の技術について活発な意見交換が行われました。
開催後のアンケートでは、「JOINT3、参加企業各社の役割や取り組みを知ることができ良かった」「知らない分野の話をたくさん聞けて勉強になりました」といった声が寄せられ、本イベントを通じて新たな知見や気づきを得られた様子がうかがえました。
企業や分野の枠を越えた対話を通じて、新たな協業や技術開発につながる可能性が広がる機会となりました。今後もRISE-Aでは、半導体産業に関わる多様なプレイヤーが交流し、共創を促進する場づくりを推進してまいります。